ガール・センター
〜フェイスの冒険〜
GIRL Center - A Leap of Faith
by Karen Elizabeth L.
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《 解 説 》
FictionManiaの検索カテゴリーの中に“Bad Boy to Good Girl”というくくりがあります。要するに、「悪い男の子」が女装することによって「良い女の子」になるという話です。パターンとして多いのは「不良少年が女性として再教育される」というストーリーで、この話は、いわばその典型。
とはいえ「悪い」部分にさほどの重点が置かれているわけではなく、全編を通して“Girlie Girl”(女の子っぽい女の子)という言葉が何十回と繰り返される、この作者独特の「女の子的世界」が横溢しています。
最後に、日本語訳について2つほど――
まず、副題の“ A Leap of Faith ”について。これは、そもそも英語の慣用句で「安全性を確かめないでとる行動」ということ。「思慮のない無鉄砲な行為」という悪い意味にも「犠牲を顧みない無私の行為」という良い意味にも使われるようです。同時に“ Faith ”というのは、この小説の主人公の名前でもあります。で、どう訳したらいいか困ったすえ、日本語の副題は「フェイスの冒険」となりました。
もうひとつは一人称について。通常、私は、女装小説を書いたり訳したりするとき、主人公の意識が男の時は「僕」または「俺」、女になった後は「あたし」とすることにしています。でも、地の文が一人称で書かれた小説の翻訳では――原文は、当然、すべて“I”ですし――「僕」で通すことが多くなっています。特にこの小説は、内容が女の子っぽすぎて、地の文まで「あたし」にすると(「私」だとしても)、まるで少女小説になってしまい、女装小説のとしての面白みが半減しそうです。最後まで「僕」で通しているのは、そういう理由です。