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「QUEEN」誌は、東京で「エリザベス会館」という女装クラブを経営する
(株)アント商事が発行していた隔月刊誌です。
通常の書店ルートとはちがう流通――要するに「ビニ本 ルート」と呼ばれたもの――で市販されていた本なので、一般の方の目に触れる機会はあまりなかったと思いますが、20年以上の歴史を持った、この手の雑誌の老舗的存在でした。ショルダータイトルに「アマチュア女装交友誌」とあるように、女装を趣味とする男性を対象として、女装のためのノウハウや、その嗜好に対する考え方、精神的なケア、また、同好の士の交流を、ある意味、非常にまじめに(つまり、過剰なほどマニアックに)追求していました。
(インターネットの普及とともにその役割を終え、2004年に廃刊になりました。)
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●たまたま投稿したことから、8年間連載。 |
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私自身は当時、「行為としての女装」はしたことがなかったのですが、昔から、自分の中の指向として「“らしさ”への反感」「ジェンダーの越境」というテーマがあり (そのあたりについては、さらに深い自己分析、というか、本音がこちらに載せてあります。)、興味もあって、創刊時からときどきこの雑誌を見ていました。
1980年代の終わり頃、はじめて書いた小説が女装を題材にしたものだった(たまたま、興味のおもむくまま書いたら、そうなってしまった)こともあり、(そのままにするのももったいない気がして)「QUEEN」誌に投稿してみました。と、それが掲載され、以来8年あまり、乞われるままに、ほとんど毎号、連載小説を提供してきたというわけです。
私は、生業としても文章を書くことを中心に仕事していますが、この連載に関しては、通常のギャランティの10分の1程度の「謝礼」しかもらっていませんでしたから、いわば趣味兼ボランティアみたいなものでした。まあ、日頃、やたらカタい記事やクライアントに対する露骨なちょうちんコピーばかり書いているので、その「筋肉疲労」のリハビリテーションにはなっていましたが。
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●インターネットへ。 |
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90年代半ば、ちょっとした方向性のちがい(別にケンカしたわけではありません)から、「QUEEN」での連載をやめました。その頃はちょうど、インターネットが普及しはじめていた時期。で、それまで書いてきた小説を埋もれさせてしまうのがもったいないような気になり、さらに、もっと広い層の読者にも読んでもらいたいという気持ちもあり、このサイトをつくりました。
とはいえ、いちおうプロのもの書きですから、読者から代金をいただきたいと思い、ラスト部分を暗号化するという方法を考えつきました。
立ち上げたのは、まだ一般向けプロバイダが開業して間もない1996年の6月ですから、女装系のサイトとしても、また、有料コンテンツサイトとしても、国内で最初に近いものだったと思います。
(そのあたりの経緯については、2000年にメディアファクトリー社から立石洋一名義で刊行した『インターネット「印税」生活入門』に詳しく書いてあります。もう絶版になっていますが、大きな図書館とかに行けば今でも読めます。HPづくりのノウハウの章などは、今となっては、もはや時代遅れですが。)
その後、2008年からしばらくは、さまざまな事情もあり閉鎖していましたが、2010年、こういう形で再出発しました。
(閉鎖に至った経緯など、その間の事情はこちらを。)
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